琉球箏は本土の箏とは違う独自の歴史をたどってきたとはいえ、使う楽器は一緒です。
以前は「長磯(ながいそ)」と呼ばれる箏を使う方も多かったとのことですが、
現在ではほとんどの方が本土と同じ山田流の箏を使っているそうです。
ちなみにこの「長磯」というのは、箏本体の側面部分に螺鈿などの装飾を施した
それはそれは贅沢で豪華な箏です。
琉球王朝でいかに箏が大切にされてきたかが偲ばれる、とても雅びなものです。
《2021年4月追記》
縁あってこちらの長磯箏を譲り受けることができました。
お稽古場でご覧いただけます。
(参照記事:美ら箏 Members site「長磯箏」)
さて、使う楽器は同じでも、大きく違うのが弦の張り方。
琉球箏は本土の箏に比べて弦をかなり緩く張ることで、低音のゆったりとした音色を響かせます。
琉球の箏と、大和の箏(=生田流・山田流)との
大きな違いと言えば、爪の形でしょうか。
こちらが琉球箏で使われている爪です。
現在の “生田流” や “山田流” よりも古い “筑紫流” の形が
ほとんどそのまま残っていると言われています。
言い換えれば現在の生田流や山田流の爪の祖先にあたるということ。
今の私たちは、この爪をさらに改良したものを使っているという訳です。
そういう思いで琉球箏の爪で弾いた後に生田流の爪を使ってみると、
弦に対する爪の当たり方(フィット感)が全然違うことがわかります。
生田流の場合は角を作り、爪を薄く削る改良を施したことで
より細かな様々な手法が可能になったのですね。
琉球箏の爪の音色がおおらかな感じとすれば、生田の爪はとても繊細な音色。
爪一つとってみても、より良い音色を求めて、
いかに先人たちが工夫と努力を重ねてきたかが偲ばれるようです。
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